Azuという名のブシェミ夫人

バンデットQのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

バンデットQ(1981年製作の映画)
4.0
愛するテリー・ギリアム爺ちゃん作品再見フェス。

さてさて『バンデットQ』から始めます!
いつ観ても初めて観た時に戻れる気がする作品。
ある夜、11歳の男の子ケビンの部屋に馬に乗った騎士がクローゼットから現れる。
驚いて目をつぶったケビンが目を開けると騎士は消えていた。
そして次の日の夜、夢では無かったはずだとカメラを持って待ち構えるケビンの前に今度は6人の小人達が現れる。
小人達は自称『時空を飛び越える有名な盗賊団』で、実は創造主から時間の地図を盗んで逃げてきたのだと言う。
そこへ創造主が追いかけてきたものだから、ケビンは騒動に巻き込まれて小人達と一緒に逃げ出す羽目に・・・。

なにが恐ろしいって、ギリアム作品って“入門編”みたいな映画が無いんですよね・・・。
癖がありすぎて、入門編のつもりで見せたはずが即刻退場していっちゃう可能性ありますからね。
本作は子供向けのおとぎ話みたいでストーリーが分かりやすいのですけれど、かと言って人に勧めるかっていうとゴニョゴニョ。
愉快でファンタスティックな冒険劇は子供が観たら絶対楽しいんだけど、全部観させられるかっていうとゴニョゴニョ・・・。
ギリアムワールドのブラックでシニカルなスパイスが刺激的すぎて!!

時空を旅する小人さん御一行は私達も良く知っている有名な人々に出会いますが、まぁこれが背が低いのがコンプレックスで終始身長の話しかしないナポレオンとか、義賊であるロビンフッドも微妙に胡散臭かったり、悪魔は神の無能ぶりを『男に乳首を付けた』と批判したりして、もうギリアム遣りたい放題。
でも最初から最後まで決して適当な訳でも、雑な訳でもないのです。
そうですね・・・例えるならば、広場にそれはそれは丁寧にドミノを並べていって、さぁようやく完成したので一番端をひと押し☆・・・かと思いきや全力疾走でヘッドスライディングして全部ぶち壊すみたいな。
ええ、自分でも何を言ってるんだか分りません。

ともかく、ギリアムは頭の中に壮大な自分の世界を有していて、それは非常に明確で揺るぎない存在なのだろうと思う。
だから彼の作品は“常識から外れまくった位置”にはありながらも、そこからはブレないのです。
そして私は懲りもせず、その世界を覗きこんでは『ギリアムってばホントにもう・・・・・・・好きだぞ♡♡』ってアホなカップルみたいな状態になっちゃうんですな。

主題歌は何気にジョージ・ハリスンだし、『スター・ウォーズ』のR2-D2の中の人ケニー・ベイカーや、重要な役でショーン・コネリーが出演してたりでなかなかレアですので、未見の方はダメ元でどうぞ!
でもオススメかと言われると・・・ゴニョゴニョ。