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青いパパイヤの香りのKAJI77のレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.0
1950年代のベトナムはサイゴンが舞台のラブストーリーでした。英題は"The Scent of Green Papaya"、主人公の幼さを象徴するとても良いタイトルですね。
カンヌではカメラ•ドール(新人監督賞)とのことで、デビュー作だとは到底思えないレベルのクオリティに、トラン•アン•ユン監督の底知れなさが伺えます。

とにかく、この映画のミニシアター感は筆舌に尽くし難いほど素晴らしいものです。触れたら壊れそうな少女の繊細さを、様々な演劇的な演出で大変魅力的に描き上げています。
特に、主人公ムイの少女時代を好演したリュ•マン•サンの、少し大人な顔が見え隠れする絶妙な魅力をここまで引き出したのは天才的でした。ユニークでありながら、誰しもの心の中にある美の心象を正しく体現している…圧巻の映像美を体験できます。

サイゴンは訪れた事があるのですが、あの独特の蒸し暑さと重厚感ある建築物の調和をまた体験しに行きたくなるような、そんな作品でした。
⭐︎4.0!!シネフィルにはたまらない傑作です!
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