ラグナロクの足音

青いパパイヤの香りのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.3
ここまで透明な映画は見たことがない。危険すぎる。映画と現実の境がわからなくなってしまうかのように、自分がスクリーンの中に取りこまれそうになってしまった。台詞といえるセリフは一切無い。にも関わらず、我々が普段生きているうえでの目線、カメラの動きを見事に一致させることで、途方も無く静的な、映画と現実の一体感を生み出すことに成功した。視界だけでなく、一粒一粒の水滴が落ちる音、カエルや虫の音、風の流れというような、ふだん当たり前のように聞いているからこそ、聞こえてはいない音たちが、観る者の五感を更に研ぎ澄まし、性的にすら昂らせる。妖艶な青いパパイヤの香りが、確かに漂ってきたよ。
ラグナロクの足音

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