こまだこま

青いパパイヤの香りのこまだこまのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
3.6
映像の色彩や構図が絵画的で美しかった。ワンシーンをパノラマのように平行移動させて映すカメラワークが多く用いられており、家の中全体を俯瞰しているような感覚に陥った。
静謐で淡々と物語が進む中で、それをベトナムの民族楽器のオリエンタルな音色やピアノの旋律が彩り、雰囲気にメリハリを付けていた。題材としては、50年代のベトナムの階級社会と格差を感じさせる部分もあったが、前向きな未来へと希望を感じさせるような結末であった。ベトナム文化を象徴するような家の家具やセット等も魅力的だった。
あとは、ありふれた自然の中の美しさや、飾らない日常的な所作ののしっとりとした美しさに改めて気づくことができた。主人公の、控えめだが芯のあるような内面に日本の大和撫子と共通する精神をも感じた。
いつか機会あったら映画館の大画面で堪能したいなぁ。
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