和桜

青いパパイヤの香りの和桜のレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
3.4
舞台は1950年代のサイゴン。10歳の少女ムイは資産家の邸宅で下女として働く事となる。田舎から都会へやってきた彼女の戸惑いや成長、月日が経った後の変化を当時の風景や生活と共に情緒的に描いていく。
ベトナムで生まれパリで育ったトラン・アン・ユン監督作品で、ベトナムとフランスの合作映画。

驚いたのはこの映画で映し出されるサイゴンの美しい情景が、全てフランスでのセット撮影だということ。戦後のベトナムでは映画産業とのパイプや適切な場所が見つけられなかったらしい。時代は違うけど自分が訪れたベトナムより少しオシャレな雰囲気もあり、これは監督の原風景と自身が育った環境が混じりあって出来ているのかなとも思った。

特徴的なのは緻密な画作りとカメラワーク。特に複数人をきっちり収めて映すのがめちゃくちゃ上手い。
不穏な音楽と共に何かを追っていくカメラや、子供の遺影が失礼ながらJホラーチックで怖かったんだけど、あれは意図的にやっているんだろうか。あと屁をここまでキュートに描いている映画はそうないと思う。

ただ自分はこういう映画ではされた側の気持ちになってしまうんで、話の内容的にある展開に幻滅してしまったのも事実。これはつまりどんな環境でも喜びを見出だしていた人物に勝手な幻想を抱いていたんだと反省した。
和桜

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