美しい映像と極力押さえた台詞。磨かれた調度品に、手作りの食事。おそらく、監督の求めた世界観は成功しているのだろう。
しかしながら、人間関係の描写や説明が少な過ぎて、私には感情移入が難しかった。
最初の家の奥様がムイを可愛がっていて、別れを心から悲しんでいたのはよく伝わってきた。しかし、肝心のムイとクエンが心を通わしていく過程が今一つ弱く、婚約者が気の毒になった。婚約者の無邪気さより、ムイの佇まいに惹かれたのかもしれないが、それにしても、映像の中での二人のやり取りが希薄に感じられた。最初の家の家族の崩壊も気になる。