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コラテラルのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

コラテラル(2004年製作の映画)
3.3
February 20th

Michael Mann監督作品。
Tom Cruise主演作品。
率直に感想を言うと、まぁ少し画的に物足りないかなと言う印象でした。というのも、この作品は2008年の作品で、8割以上をデジタルカメラで撮った初めて?の作品だと言うことが大きく関係しているはずです。この当時はまだHDで撮影するのが限界で、解像度も落ちるのになぜデジタルで撮ったのかと言うと、質感というものにこだわったと言います。デジタルではポストのしやすさと言うのがよく言われますが、この作品で重視したのは、ポストではなく撮影時の色の感じと、映像の質感。LAの夜の街の無機的な空気感を照明とカメラを使って表現している。この映画のテーマにもなっているような、この夜の雰囲気はいい感じに表現できていたと思います。
でも、すこし変な感じがするところもありました。特に照明。夜の撮影というのはかなり難解なところがあり、ナチュラルにすると、ただの真っ暗な感じになってしまいますが、そこを、どうやって映画の世界観に引き込むのかと言うのが大事になってきます。このさくひんでは、人物のコントラストをできるだけ無くしたようなフラットな照明が目立ちましたが、そこがあんまりはまりませんでしたね。
いまのデジタルカメラを使えば、4Kでも8Kでも撮影できて、ダイナミックレンジも幅広く使えるため、コントラストの大きい夜のシーンも撮影できます。ストリートライトをうまく使った映画も最近ではよく見かけます。"Night Crawler"のような。

ストーリーは、かなりコンパクトで、時間で言うと五時間ぐらいの話かなと思います。長い映画では80年の歳月を描く作品もあるだけに、長編映画ではとても珍しく、すごいなと思いました。サスペンス要素もたくさんあったし、Tom CruiseとJamie Foxの演技も冴えていたと思います。短い時間の話だけに、ストーリーの前後があまり見えてこない話ですが、ありふれた日常を所々で描くことで、ここまでサイコパスとは行かないまでも、こう言う事情は日常的に起きているんだと言うことに気づかされます。

ここから、さらにデジタル映画時代が進んでいくと考えると、トライしたことだけで成功作でしょ。
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