ドント

アマチュアのドントのレビュー・感想・評価

アマチュア(1979年製作の映画)
4.0
79年。ホァーーー…… 猛禽類が白い鳥を襲い、その肉をコツコツとつまむショットからこの映画は始まる。鳥を食べる鳥。妻の出産を期に、当時とても珍しい8ミリカメラを手にいれた男が成り行きで映画の制作にはまり込んでいく本作はつまり、「人が人を撮る」ことの有意義さと怖さを語っている。同時に日常の平穏と夢追いの激動の天秤も。
カメラで何かを(殊に社会的に大事なことなんかを)撮影する時、人は自分の人生と周りの人を忘れてしまう。自分がまた見られている存在であることも。それを象徴するのがあのウワッとのけぞるほど怖い電話のシーン。この映画では他にも「視線」や「目つき」からこぼれ出る意味合いが濃厚で、すごい。
誰でも誰かを撮影、世界に公開できちゃうようになった今こそグッと意義が出てくるような内容。致命的な仲違いの場面で思わず妻の姿を指のフレームで囲ってしまう主人公は、事故や災害を撮影する人々に似てはいないか。人が人を撮るということは、鳥が鳥を食べるようなことなのかもしれない。こわい。
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