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明日の記憶のHKのレビュー・感想・評価

明日の記憶(2005年製作の映画)
4.0
萩原浩原作の小説を「TRICK」「ケイゾク」などの堤幸彦が渡辺謙、樋口可南子主演で映画化

いろいろと落ち込むと映画って見れないものですね。ここ最近はほぼ意気消沈としてほぼ物ボケ状態、ネットのやりすぎで脳が委縮してしまったのかしら。これはある意味脳の劣化のサインなのか。

この映画も、まさに若年性アルツハイマーを題材にした二人の夫婦の物語である。唐突に訪れるボケは全ての始まり。何より名前が出てこなかったり、スケジュールを忘れたりが最近ずっとある自分にとっては身につままれるような内容であった。

しかし、この映画を監督したのは、独特のタッチで有名な堤幸彦だ。彼の最大の特徴は文字を壁や背景に入れることで独特の世界観を作り出すタイプオブグラフィックを多用した映像表現が多い。それが原作有の作品を映画化した際に世界観をけがしてしまうことがあるが、今回は主人公が忘れないように付箋や張り紙を付けることでより自然に薄まった表現になった。

だが癖が凄すぎて、ちょっと違和感を感じてしまったところもたくさんあった。ブライアン・デ・パルマでも意識したかのようなぐるぐるカメラを回す演出で彼のアルツハイマーの深刻さを描くのは、ちょっと安直過ぎないのかと感じたり、何より退職した直後のあの妄想シーンは必要なのか、アルツハイマーじゃなくて本人の問題じゃないかとも思ってしまった。

だが、その後の夫婦間のシーンは渡辺謙の迫真の演技のおかげでちょっと涙ぐんだ。人間ってああやって追い込まれると弱くなるものである。過剰な演技っぽいかもしれないが、自分ならああなるかも。

しかし、大滝秀治のシーンは必要だったのかと思うとよくわからない。あれはなんだったのか。最後のシーンも、もうちょっと編集を良くすれば、例えば「これから駅行くんですけど・・」「・・・はい」ここで終わってればかなりよかったかもな~

まあいろいろと言ったけど、自分はこの堤幸彦さんがなんだかんだで好きなのである。おまけに最近急に涙もろくなったのでまあまあ泣けたからそういうのも含めてこの点数にしようかなと思う。
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