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明日の記憶のmanamiのレビュー・感想・評価

明日の記憶(2005年製作の映画)
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バラエティ番組で「裏回し」なんて言葉を最近ちょくちょく聞く。表立って番組を回すMCの他に、トークやリアクションなどで進行をさりげなくサポートする出演者のことを指すらしい。そして時にはMC以上に重要な役割を果たすとかなんとか。
この作品でその「裏回し」を担うのは、主人公の妻を演じる樋口可南子。渡辺謙演じる佐伯がモーレツに働いたり、少しずつ忍び寄る異変に気付かずにいたり、渋谷で恐怖の迷子体験をしたり、事実を知ってうろたえたり、その他諸々ジタバタしてる間、とにかく夫を支える、鼓舞する、励ます。
顔で笑って心で泣いている時の人間って、きっとこういう感じなんだろうなと思う。
それから画廊の経営者も善い人!介護ってどうしても家族で抱え込みがちだけど、あんな友だちがいたら少しは心が軽くなるかな。耳が痛くなるようなこともビシッと言えて、先々まで見据えて我がことのように心配してあげられて、良かれと思ってしたことで責められても友の痛みを察して「ごめん」と謝ることができる。なんて素敵なんだ、惚れ惚れするぜ。大切な友人に接する際は、私もかくありたいものです。
アルツハイマーが家族の絆を壊してしまうことも、実際にはきっとあるのだろう。このエンディングがハッピーエンドなのかどうかも、まだまだ私には判断できない。
だけど「昨日」までの思い出が深く深く沈んでしまっても、日記に「今日」の出来事が書かれることがなくなっても、「明日」も二人で生きていこう。記憶はなくなったわけじゃない、燃えつきた薪の下でまだ熱を放ってるよ。

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