shiho

ブレア・ウィッチ・プロジェクトのshihoのレビュー・感想・評価

4.1
面白かった!
ホラー好きの母から「何も起こらなくて死ぬほどつまらなかった」なる感想を昔聞いたので候補から除外していましたが、ん〜百聞は一見にしかず!やはり映画は好みとか評価基準が人それぞれなので自分で確かめなきゃなりませんね(о´∀`о)☆

「ブレア・ウィッチ」という魔女伝説が残る田舎町で、ドキュメンタリー映画を撮るために森に入った大学生3人が消息を絶ち、大規模な捜索の甲斐もなく手がかりさえ見つからなかったけど、1年後に彼らが撮ったビデオテープだけ発見されましたよ、This is it!!
というお話。

これ、当時はメディアミックスの宣伝をされてて、ブレア・ウィッチを特集したテレビ番組を作ったり、彼らの家族のインタビューがあったり、今でこそフィクションだとわかってて観てますけど、当時は今程はネットも普及していないし、「本当にあった事だ」と信じていた人も大勢いたようです。
だからこの作品を観るだけでもそれなりに楽しめたけど、ブレア・ウィッチ関係の事件の年表とかネットで探したら出てくるので、それも含めて理解するとより恐怖が増しますね。
本作一本でいくなら、冒頭の流してるようなインタビュー映像に大事な情報が詰まってるので、一言一句漏らさずによく観て置いた方が良いです。
(年号と外人の名前覚えるのが苦手な私はここで苦労したので半分も覚えてなかった笑)

本作は、この学生達の主に監督役&起案者だったヘザーという女学生の持つハンディカメラの映像です。
POVものって圧倒的に屋内で撮ってるものが多いですよね。
要は「逃げられない」「外の世界から隔離された状態」にすることで恐怖感が増すから。

でも今作はほとんど屋外なのに、上記の条件を満たしてる。
車を停めてお目当ての場所に行って帰ってくる途中で迷ってしまった彼らは、ずっと陽の下にいるのに森から出られない。
周りは木だらけ。
何写してるかわからない時もあるんだけど、その木の間にも何か見えそうで怖い。

森から出られないから夜は真っ暗闇。テントを張って眠るけど、起きたらテントの周りに石が積まれてたり、変な声が聞こえたり、しまいには仲間がいなくなってたり、更にいなくなった仲間の声みたいのが聞こえたり…。

迷ってるうちに木の枝で作られた人を形取ったもの(スティックメン)が大量にぶら下がっている場所に行き着いてしまったり…。

本作はお化けやその伝説の魔女本体は一切出てきません。
ホラー映像を求めている人には3人組が追い詰められてケンカしてるのをずっと見せられる退屈な映像になりかねません笑

でもそんな派手な映像を入れなくても、「来てはいけない場所に来てしまった」「確実に得体の知れない何者かに狙われている」という恐怖がこちらにもひしひしと伝わります。
むしろビックリ映像ばかり観ていると私たちは慣れて飽きてしまい、
「もっと怖い映像を」とどんどん麻痺していく。更に出し過ぎるとホラーはしばしばギャグになってしまう。
見せない事で想像させる恐怖、というのもあるんだなと改めて再認識しました。

役者さん達もアドリブありでオーディションをしたようで、やりとりとかリアクションが自然でリアリティがありました。
特に主演女優さんのヒステリック一歩手前みたいな悲鳴とか、
あるものを発見した時の過呼吸気味の怯え方とか良かったな!
映像も粗い、音も悪い、照明も(多分ほとんど)なくて昼でもなんか暗い。
でもだからこそ作り物感がなくてリアリティがありました。
あとちゃんと役者さん達の顔がだんだん憔悴していくのもいいね。
服とかも汚れてくし。
(「森の中サバイバルしてそんな綺麗なわけなかろう!!」って作品多いじゃん)

夜な夜な聞こえる謎の声とかも、
なに言ってるのかもわかんないけど声が聞こえる。ってメッチャ怖いわ。

このジャケットのシーン、ヘザーがカメラに向かって自分たちの親に泣きながら謝り恐怖を語るシーンも良かった。
音に怯えて横に動く目の動き、恐怖と絶望のあまり落ちる涙。

ウルトラ低予算でもアイディアとやり方次第でこんなに面白いものが出来るんだなって思いました。
魔女というワードに最初はピンと来なかったけど、
人間と幽霊の間みたいな。
実害がある化け物で幽霊より実体がありそう感がより良かったと思います。

最後だけはもう少し派手に怖がらせて欲しかったですけど、これも想像の余地があってまぁ良いかと。

全体的な不気味な雰囲気と設定の作り込みと素人っぽさとリアルっぽさの追求の勝利です。

観終わった後不気味さが残り、寝る時なんか怖い気持ちになりました、こんなの久しぶりでした(*^^*)
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