マーくんパパ

シェルタリング・スカイのマーくんパパのレビュー・感想・評価

シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)
3.9
アフリカ大地&砂漠の圧倒的存在感、青い澄みきった空は文明の地と繋がっている筈なのに迷路のように抜け出せない果てしないアフリカ奥地を彷徨うポートとキット夫婦。結婚10年を過ぎた2人の覚束ない愛の所在を確認する旅でもあったが、夫は疫病感染で死んでしまい答えは出ずに終わる。夫は岩窟娼家で財布を抜き取られ袋叩きに、妻は夫の死後ラクダ隊商の多婦世帯の囲い者にされる悲惨な旅路、何を好き好んでこんな未開の地を訪れようとしたのか理解に苦しむ。画面で景色を愛でるかホンの小一時間現地で絶景を眺める分には魅力的な大地だが、蠅が飛び交い極寒酷暑の未開の地で愛を確かめ合おうという気にはとてもなれない。出発地点の寄港地グランドホテルのカフェに戻ってきたキットに老人が〝道に迷ったのかね?〟と呟く。永遠の時を信じて迷い彷徨ううちにいつしか終焉の時を迎えている人生の儚さ。ベルトリッチの意を汲むには様々な哲学的思索を必要としそうな映画でした。