ポールボウルズの半自伝物語。
キリスト文明(=モンスター母子)を捨てて、よりもっと根源的な文明アフリカに遡っていき、言葉を失い、最後はわけのわからないとこまで到達する。
人は神話文明に生きると、「既に知っている 気づいていないだけ」のライフストーリーしかありえないのだが、未知の文明を通過すると、「何も知らない 気づいていくだけ」のライフストーリーを得る。
この最後あたりのわけのわからない危険なところに裸でハマっていく感じ、どこかで体験したことがあるんだけど、何だろう。地獄の黙示録?
アフリカはこれから面白いかもしれない。
キットのしてたサングラスの色がよかった。
旅商に手を握り指輪を触られるタイミングで、「手を離せ 手を離せ」と男の声の日本語が入ってるように聞こえる。
これが意図的ならもう一度見直さないと…。
10個のカバン(そもそも多すぎる荷物)を捨てて1個だけ持っていくとか、注射で殺される劇画な場面、水に赤い液体を入れるところとかいろいろ象徴的なところがあったけれど、表の筋が面白くてあんま興味わかなかった。
ポールボウルズのラストの詩は逆に読むのがいいと思った。
普通に読めば、死を意識して生きていないから、文化尺度に乗っ取った生しか経験できない、生きることの真理が見えていない。ということだけど、逆に読めば、
あと何年生きられるか(自分の年齢)にこだわらなければ、人間は永遠に生きられる。そして、生きる真理を見つめられる。
人間は永遠に生きようと思うべきではないか。そこで、永遠に生きたとき何をするか?を考えないと、有限の生の意味もない。