SatoEmiko

光のほうへのSatoEmikoのレビュー・感想・評価

光のほうへ(2010年製作の映画)
4.3
幼少期に親に負わされた心の傷を癒せずに、過去に囚われたまま生きてきた兄弟の、愛情についての物語。

アル中の母親と、幼少期に起きてしまった悲しい事故…深いトラウマに囚われた、かつては幼い手を取り合い力を合わせ生きていた兄と弟。時は経ち、兄は母と同じ酒と暴力漬けに。弟は麻薬中毒でシングルファザー、一人息子を育てることもままならなくなってしまっていた。
自滅の道を突き進む、疎遠だった二人が、母の死で再会する。

時折見せる談笑や親子のじゃれ合いから感じる、二人ともがちゃんと持っている愛情。それをまっすぐに表現できず、他人を、自分を傷つけることしかできないジレンマ。その愛情が本物であるぶんだけ、尚更苦しくて、苦しくて…

一番なりたくなかった自分の親に、どんなに足掻いても似ていってしまうことへの恐れ、苛立ちと絶望には息苦しささえ感じるほど。幼い頃の事故が、彼らの中では自分たちが母親と何ら変わらない最低な人間であることを裏付けることになってしまったのだろうと思うと、やるせなさすぎる。

延々と二人の過去が落とし続ける影に、ようやく光がさすラストシーンには、涙が止まらなかった。