COZY922

DEATH NOTE デスノート the Last nameのCOZY922のレビュー・感想・評価

3.7
正義感の行使が、正義感の暴走になり、やがてそれが正義のかけらもない殺人鬼へと変わる。けれど本人は自分の正しさを微塵も疑わない。デスノートはそれ自体が文字通りの殺人ツールであると同時に その所有者の人格をも変えてしまう。デスノートを手に入れた者たちの変わりっぷりを見るとつくづく思う。権力や武器は人を変えてしまうんだなと。

夜神月とミサミサのやり取りの芝居っぽさ、どうしてもチープな感じを受ける劇中のニュース映像、Lと夜神月以外の演技、終盤の強引な展開、この人やあの人はお咎めなしなの? などなど 納得感の無い箇所や不満な点を挙げればキリが無い。けれど、この終わり方、私は悪くないと思う。

2人の天才の直接対決は純粋におもしろい。が、何よりも印象的だったのは、Lの命をかけた一手と 夜神総一郎との最後の会話。終盤のあのシーンは Lの孤独な重圧の裏にある気持ちのすべてを代弁していたように感じて ひどく切なくなってしまった。彼は ほんとは孤独な天才として生きるよりも 何もかもをさらせる人が欲しかったのではないだろうか。そんなことを思うセリフだった。

夜神月とLの頭脳戦にハラハラする一方で、権力(パワー)を持った人間の変貌・転落ぶりや深層心理、思いがけずヒューマンドラマの醍醐味にも似たものまで味わうことができ、個人的に感じていたマイナス部分が帳消しとなった。原作を知らない私は圧倒的にL派。藤原竜也もハマっていたけど本作の松山ケンイチは良かった。これは彼のための映画だったとさえ思う。
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