無学

連合艦隊の無学のレビュー・感想・評価

連合艦隊(1981年製作の映画)
4.0
カラオケには滅多に行かないが
谷村新司の「群青」と、
さだまさしの「防人の歌」は
行けば必ず唄う。
で、映画のほうはといえば
特撮が得意なはずの東宝だが、
物語のスケール感に対し、随所に散見される"いかにも特撮"な画がこの作品には不向きに感じ、
東映の「二百三高地」のほうがよく出来た印象。
近代史としてみれば、
日露戦争→勝利
太平洋戦争→敗戦
という「結果」なれど、日露戦争における凄惨な旅順攻防を仲代達矢の映画で知り、
大東亜戦争からの大和沈没までの戦局を時系列でドライに捉えた本作は、
その抑揚の無いナレートとは対照的に
「散華」していった英霊とその周辺の機敏を立体的に見せてくる。
実際に海軍航空隊にいた鶴田浩二は出演時間は少ないながらも、その存在感たるや真の銀幕スターのオーラが凄いし、
ここに池部良や、当時すでに故人の加東大介といったやはり戦地を体験した名優がいたならばさらに厚みのある映画になったのでは。

いわずもがな、その行為は肯定されるべきではない戦争。
やむを得ないで始まり
やむを得ないで終わる。という台詞は
重い。
映画は史実を美化する側面があるものの、偏向したイデオロギーを持たない商業映画のヒューマニズムが果たす役割と、もたらす作用はとても大きい。

ところで、「アルキメデスの大戦」を劇場鑑賞するつもりでいたけれど、
当今お決まりの告知として地上波バラエティなどを電波ジャックするプロモを見るにつけ、いまの役者はこんなことまでしなければいけないから大変だよなぁ、と思うと同時に、どこかでシラケている自分。

とりあえず
吉田満著「戦艦大和の最期」と、
吉村昭著「戦艦武蔵」を再読しようと思う。
無学

無学