片腕ファルコン

タカダワタル的ゼロの片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

タカダワタル的ゼロ(2008年製作の映画)
3.8
テアトル新宿の【高田渡大復活祭2015】にて!!

2005年に亡くなった伝説のフォークシンガー高田渡のドキュメンタリー。

公開当時も見て感動したのですがまたスクリーンであの笑顔が見たくなって行ってきました。

この『タカダワタル的ゼロ』の前に『タカダワタル的』というドキュメンタリーが生前作られているのですが、内容に関しては今作の方が古いので前日譚的な意味合いを込めてこのタイトルになっているのでしょう。(ややこしいですが)

監督はまさかのコワすぎシリーズの白石晃士。唯一の本当のドキュメンタリーがコレとは恐れ入りました!!
実はこっちの方が前作『タカダワタル的』よりも人間味が出てるというか単純で分かりやすくて面白いんです!(明日『1』の方も見直して見比べますね) これは白石晃士監督の引き出し方が上手いのか、編集が匠なのか、今に通ずるものを感じたりもします。

とは言っても吉祥寺のいせやで陽気に話す高田渡(酔っ払って呂律があまり回ってないから聞き取りづらい...)がちょこっとだけ登場してきて、残りの9割くらいは2001年の年越しライブの映像をまとめたもので構成されています。

このライブが抜群に良いんです。どうやら柄本明が主催したらしくベンガルとか他の劇団仲間を集めてバックバンドを組んでます。みんな小汚い(笑)
そしてもう1人の主役と言ってもいい泉谷しげるも登場!!もちろん今のスタイルと全く変わらず登場するやいなや「じじい!ダラダラやりやがって」と高田渡に悪態をついたり、客にも罵声を上げて煽ったりやりたい放題。でも本編に披露してくれた『おー脳』と『春夏秋冬』が異常にカッコよくて当時ipodに入れて良く聞いてましたよ!!

そんな荒々しい泉谷しげるに対してマイペースな高田渡は「裏では大人しいんだけどね」など軽くいなし爆笑をかっさらっていきます。完全なる漫才。

高田渡が自分の曲を歌ってる時に2番から「ちょっと唄って」とバトンを渡されても泉谷は「唄うわけねーだろ!」と毒づいていながら結局歌詞カードも見ずに歌い上げる。泉谷しげるは高田渡の曲が大好きなのだ!!
その証拠にラスト、全員で唄う『靴が一足あったなら』という寂しい名曲では一人涙を浮かべて上を見上げる泉谷しげるの姿がアップで映し出されていた。自分ももらい泣き。
本当に素敵な空間だったのだろう。

とってもハッピーになれるドキュメンタリーである事は間違いありません。高田渡を知らずとも是非見てほしなぁ。

※この『タカダワタル的ゼロ』は今週火曜と金曜やってますよー