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永遠のこどもたちのマーチのレビュー・感想・評価

永遠のこどもたち(2007年製作の映画)
3.4
フォロワーのまなみ姉様に紹介していただいた今作、観終えた後の率直な感想は「こんなの泣くに決まってるやん… 。゚(゚´Д`゚)゚。」です。笑


【レビュー】

《永遠の先にある“愛”》

オタク界のレジェンドおじさんギレルモ・デル・トロ大先生が製作総指揮を務め、『インポッシブル』『怪物はささやく』でお馴染み、次回作は『ジュラシック・ワールド 炎の王国』と、今のところ傑作揃いのフアン・アントニオ・バヨナ監督の長編デビュー作。

ストーリー的にサスペンスチックでありながら、漂い続ける乾いた空気感はとても冷たく、ダークファンタジーへと昇華するラストは暖かくて美しい。

孤児院で育った母親🤱と養子の子ども🧒、血の繋がりは無くともそこには血縁以上に強大で確かな愛があった。きっと血縁なんてのは愛が離れてしまうことの怖れによるまやかしであって、実際は大した効力を持たない。親子という事実がそこにあるだけ。そんなもの無くても親子は成立するし、何なら血縁よりも深く強く結び付けられた真実の愛のカタチがあることを徹底して描き切っているのがこの作品。

散りばめられた伏線が見事に回収され、悲劇と切なさに満ちていつつも「幸せになったんだな」と思わずにはいられない感動のラストには誰もが救いを感じるのではないだろうか。あの結末だからこそ納得できるし、“永遠のこどもたち”の世界は確かにあるのだ。

引用されている「ピーターパン」の解釈も面白い。 “永遠のこどもたち”がいるネバーランド(死の世界)で、ラウラは“ウェンディ”として生き続けるということだよね。


【p.s.】
まず脚本が素晴らしい👏
伏線を張り巡らせて緊張感を煽りつつ、ラストには鮮やかに回収する力量の凄さよ…爽快感すら感じてしまうほど綺麗にまとまった美しい物語だった。
また、ラストの音楽の使い方が秀逸で、感動をもうワンプッシュされたような感覚に陥りました。

あと恐ろしいシーンではガッツリ怖さを感じたし、絶妙なおどろおどろしさで攻めてくるから後半のドラマチックな部分とのリンクに、より驚愕させられるっていうね。

シモンがめちゃくちゃ可愛い😆!
ほっぺプニュプニュしたくなったよ!!

ラウラ役のベレン・ルエダが途轍もなく上手くて安定感があるからこそ母親の強い愛情が観る側にガツンと伝わってきたんだと思います。

ラストの父親の表情も、ラウラの決断を理解し、許容してあげているような優しさが溢れていて良かった。


【映画情報】
上映時間:108分
2007年/スペイン🇪🇸 メキシコ🇲🇽
製作総指揮:ギレルモ・デル・トロ
監督:フアン・アントニオ・バヨナ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス
出演:ベレン・ルエダ
フェルナンド・カヨ
ロジェール・プリンセプ 他
概要:自らが育った孤児院を、障害を持つ
子ども達のための施設に再建するこ
とを決めたラウラは、夫と息子のシ
モンと古い屋敷へ引っ越してくる。
しかし、その屋敷でシモンは空想上
の友達と遊ぶようになり…
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