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祇園囃子のcrnのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
3.5
制作年からしたら女性の権利を主張した作品なのだろうけれど、現代から見ると女性が男性主体のシステムに泣く泣く飲み込まれた作品。いかにラストを健気にポジティブに示したとしても、女性ふたりが弱者になっている。この現在の見方を、きっと溝口は歓迎するだろう。

舞妓・芸妓の人権や尊厳を主張するのは難しい。その中で、娘の言葉を通じて基本的人権との関係を考えさせたり、現実に負ける女性をあえて見せることは、方法論としては有りだと思う。女性性を強調した小暮のくねくねした動きをはじめとした言動、抵抗しながら消費される若尾の無力さ、簾ごしの表情、等を過剰演出だと思えるのは、現代だからこそなのかもしれない。

時代の変遷に耐えて、時代をより感じさせる作品として面白い。
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