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祇園囃子のRのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
4.5
祇園の舞妓の生き様を悲喜交々に活写した傑作!ワンショットワンショットの優美さ、清澄さ、演出の艶っぽさ!見てる間じゅう、うっとり。とにかく女優たちが最高! 昔からのしきたりとモダンなエゴの間で揺れる姉さん美代春のあだっぽさがハンパじゃない! すべての所作、台詞回し、声色、まなざしが魅力的すぎて圧倒された! で、お母さんことお君の貫禄! 金のない舞妓は体を売ってでも客をつかまなあかんって主義で、自分に泥を塗りそうな舞妓には仕事を回さない悪役的な位置づけなんだけど、この人はこの人なりのはっきりした職業理念をもっているのである意味好印象。そして、最も若い舞妓になりたての栄子。基本的人権で保障されてるんやから、自分の嫌いなお客さんとは床を共にはしません、と生意気なことばんばん口にするし、舞妓としてってよりも、自分の考えを基に生きようとする現代っ子。三世代のぶつかり合い。どの人の立場もそれなりに理解できるからこそ面白い。ただ基本的人権を盾に自分を守ろうとするならば、やっぱ独立した人間でないといけないよなーと。義理人情のべったりした頼り合い、頼れば頼るほどできてしまう借り。自由を得るためにはもたれ合いから抜け出さないといけない。けど金のない女にそいつは無理。っていう社会的構造のなかで苦しむふたりの舞妓。むずかしいねぇ。けど映画はすばらしいねぇ。
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