kohei

祇園囃子のkoheiのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
3.9
《社会に抗いまた従い、彼女らは生きる》

おおきに。すんまへん。おたのもうします。『舞妓はレディ』で舞妓必須三単語として紹介された言葉。今作は、そんな綺麗な京言葉や舞妓はんに酔うも良し、舞妓はんを待ち受ける辛い現実を見るも良しの、あの時代の京都に生きた女性たちを描く舞妓ムービー。


祇園の芸者が馴染みの客から、商談成立の道具として、つまり 「女」として有無を言わさず利用されることになるが、抵抗しながらも、ことの成り行きを受け入れるしかない。映画は、祇園で生きていくより他に生活の糧が無い、芸者の悲哀と明日への勇気を描いている。
ーーーーーーーーー

「舞妓さんになりたいんです」と若尾文子が舞妓社会に足を踏み入れるところから物語は始まる。『舞妓はレディ』なんかは完全にここから影響されて撮ったんだなというのが分かるくらい序盤の感じは似てて面白いのだけど、今作は舞妓の成長譚を描いた映画ではない。生きた芸術作品と呼ばれる祇園で生きる芸者の裏の部分が、笑いあり涙ありで克明に映し出されていく。

「ええ旦那さん付けるために舞妓さんになったんちゃいますの!」みたいな事を若尾文子が言ったり、好きでもない人のところに政略的に行かされるお姉さんの姿。舞妓社会なんか全然分からないんだけど、男に食わされる女性の姿を見て悲しくなる。しかし彼女たちはそんな社会に抗いながら1人の女性として生きていく。

若尾文子と木暮実千代さんのダブル主演。良い。とにかく綺麗。京言葉にはうっとり。面白い。京都らしいユーモアもたっぷり。
kohei

kohei