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インフォーマント!のRのレビュー・感想・評価

インフォーマント!(2009年製作の映画)
4.5
ソダーバーグ監督らしいオシャレな映像と音楽で、テープレコーダーのどアップを写したオープニングクレジットから、何かもう喜びが胸いっぱい。このテープレコーダーが大変重要なアイテムとなる。主人公は、トウモロコシからリジンを生産する大工場を管理するマークウィテカー。ある問題が起こって生産がストップしてしまい大損害が出てしまったのを、日本のAJINOMOTOのスパイのせいだ、とでっち上げた結果、会社がFBIに通報。捜査が開始になる。FBIにそれが嘘だとバレてしまう前に何とか誤魔化そうと、捜査官に、実は我が社は世界の同系列トップ企業と価格協定をしてるんだ、というとんでもない大犯罪をチクってしまう。ってとこからマークは007の2倍頭のいい0014と自称するインフォーマント(内部告発者)のスパイとしてFBIに協力しはじめる…のだが……?という流れの社会派コメディ。で、どこがどうコメディかというと、まずマークという人物の様子そのものがめちゃめちゃおかしいのです。自分がついた嘘をとんでもない告発で誤魔化そうとして、その上にさらに嘘を上塗りしようとするが、うまく誤魔化せず、さらに嘘を…やめときゃいいのに…な上、一個一個しっかりときょどってるし、焦りまくってるしで、おかしすぎて笑けてしまう。こういう人、いるよねー。その上、これが本作のいちばんの特徴なんやけど、本編の間じゅうずーーーっとマークの淡々とした心のつぶやきが聞こえているのです。しかも本編とまったく無関係に思えるようなくっだらないことばかり。シロクマは自分が鼻が黒いのを知ってるから獲物を狙うとき鼻を隠す、でもどうやって本人たちは自分らの鼻の事実を知ったの?とか、 毒蝶の姿を真似てるのに毒のない蝶々の話とか、最初は何を言うとるんだ、この小太りハゲオヤジは、と思うのだが、実はすべてのつぶやきがシーンシーンで起こってることと密接につながってるというトリッキーさ。そこにさらにグイッとヒネリを加えてくる終盤は、唖然。捜査官といっしょに開いた口がふさがらない笑 サイコーですわ、ウィテカーさん。一方、こんなアホな夫の正体が分かった上での妻の決断は、何か、ちょっとジーンときた。不要になったら何でもかんでも捨ててしまえばいいじゃない、のこの時代にさ、泣かせるじゃないの。全体的にテンポが非常によく、ジャズもかっこいいし、映像も明晰でキレイだし、マーク演じるマット デイモンかわいいし、かなり楽しい映画。一つ難点があるとすれば、結構話が難しいという点。今回で見たの3回目やってんけど、1回目は楽しめはしたが、事件の内容は完全にはわかんなかったよねって感じで、2回目で事件内容全貌とつぶやきとの関連が分かり、3回目で全体のオーケストレーションをしっかり楽しめた感じやった。加えて、一見雰囲気が地味なので、相当の映画好きにさえ、ちょっと勧めにくい作品だなぁと思う。コッソリ好きですよ、インフォーマント! ちなみにソダーバーグは最愛の監督のひとりなので、映画復帰は本当に喜ばしいことです。といいつつ、劇場に行ってないという笑
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