のりまき

ライフ・アクアティックののりまきのレビュー・感想・評価

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)
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ウェス・アンダーソンが海を舞台に描く家族コメディ。
落ち目の映画監督ズィスーの前に現れた息子を名乗る純朴なニック。しかし子供っぽいズィスーは父親らしく振る舞えない。愛想をつかす賢妻、妊娠した記者、単位ほしさに無償労働をしている学生、半ズボンのドイツ人、インド人のカメラマン、デヴィッド・ボウイばかり弾く黒人ギタリスト。ヘンテコな面子を乗せて船は最後の撮影航海に。
ビル・マーレイが地に足のつかないロマンチストを、オーウェン・ウィルソンが愛されたいイノセントボーイを熱演。そしてブランシェットとデフォーが凄い。美貌や気品を封印し、迷い子そのものになっているブランシェット。かっこよさとは程遠いおかしなドイツ人クラウスを滑稽に見せるデフォー。巧すぎる!
いつもながらのなんとも言えない物悲しさ。爽やかじゃないし、いい話でもないけれどなんとも言えず物憂い、そして微苦笑みたいな独特の空気。アーヴィングに近い。いろいろぐしゃぐしゃしてるけど、「ま、いいじゃない」と窓を開けてみんな放ってやる。「人生はフェアリーテールよ!」。『ホテルニューハンプシャー』より『ホテルニューハンプシャー』っぽい。
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