rage30

カジュアリティーズのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アメリカ兵による強姦事件を描いた作品。

非常に重たいテーマながら、デ・パルマ監督お得意のサスペンス演出で、グイグイと引き込まれていった。

主人公エリクソンが正しくあろうとすればする程に孤立し、むしろ異常者扱いされていく様子が非常に怖ろしい。
戦争という環境が、如何に人から人間性を剥奪してしまうのか痛感させられる。

ミザーブがした事は決して許されるものではない。
だが、誘拐した女性に優しく薬を与える場面などを見ると、彼が根っからの悪人ではない事が伝わってくる。
幾多の死を目の当たりにし続けた事で、彼の心もレイプされ続け、まともな精神ではいられなくなったのだろう。
そういう意味では彼もまた戦争の被害者でもある。

戦場という異常な世界で、正常であり続ける事は苦痛だ。
だから、ミザーフは異常者になる事を選んだ。
そんな彼にとって、正常であり続けようとするエリクソンは、過去の自分と忘れてた痛みを思い出させる存在だったに違いない。
しかし、エリクソンはミザーフの誘いを拒絶する。

劇中でもエリクソンが言う様に、何をしてもいい世界だからこそ、その人のモラルが問われていく。
最後まで楽な道を選ばず、苦難の道を選ぶ、エリクソンこそが最もタフで強い男と言えるのではないだろうか。
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