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男はつらいよ 寅次郎紅の花のkmtnのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

渥美清の容体がどうしても悪く、思い切ってリリーさん(浅丘ルリ子)を出演させることになったとか。
ここから本来は幻の最終作50作へ向けたラストスパートとなる予定だったが、その前に渥美清は逝去された。


完全にシリーズ未見だった僕が、突然「男はつらいよ」シリーズを観る気になったのは、昨年たまたま、男はつらいよの22年ぶりの新作が公開されるというCMを目にしたからだった。
僕は90年代の生まれで、物心ついた頃にはもう渥美清はこの世にいなかった。
「寅さん」という言葉には実像を超えた様々な意味合いが含まれている。人情家、正義の味方、あるいは時代遅れのコメディ映画の代表……時代が移ろい、渥美清がいないからこそ、そのイメージは肥大化されて各自が好き勝手に語るようになってしまい、僕自身、見た事もないのに、勝手に「男はつらいよってこんな感じだろう」とイメージを固めてしまっていた。


そんな折に特報「おかえり寅さん」のCMを見て、「一度この作品をちゃんと観てみるか」と思ったのが、この長い旅のキッカケだった。


4作品に及ぶ、最も出演回数の多いマドンナであり、寅さんの最愛の人と言って差し支えのないリリーさんと、結局作中では結ばれることはなかった(とは言え、これまでの寅さんが取ってきた態度から考えると、一種の擬似的なゴールインとは言えるかも)。


結局撮影が叶わなかった次回作「寅次郎花へんろ」では、ミツオと泉を結婚させて、それを見届けた寅さんが旅を終えて柴又に定住させる予定だったという。
そして最終作50作目で、旅を終えた寅さんが柴又で死ぬところまでを描く予定だったらしい。
元々、テレビドラマ版で寅さんがハブに噛まれて死ぬという結末に、視聴者からの抗議が相次いだのが映画版のスタートであるが、結局山田洋次は寅さんをどうしても殺したかった様だ。
それについては色々な見方が出来ると思うが、僕はやはり寅さんの人生をファンに全て見せ切ることが責務だと山田洋次は考えていたんじゃないかと思う。
それだけ、寅さんという人物のことを、映画を見続けてきたファンは愛していたし、愛さずにはいられなかった。最後まで見届けたいと思う気持ちは僕自身強くある。


寅さんというキャラクターの凄さについて考えれば考えるほど、説明なんて出来っこない。
とにかく観れば分かる、問答無用の説得力がある。
それは寅さん以外の人たちも同じ。
この映画の中にいる人たちは、この世界のどこかで暮らしている、そう思えてならない。
何だかグダグダ書いてしまいましたが、僕が言いたいことは結局「寅さん、本当に今までありがとう、お疲れ様でした」。
その言葉だけです。


全部観てから、見ようとと思っていたから、「お帰り寅さん」はまだ未見。
来月のリリースが楽しみです。


追記
書き忘れてましたが、冒頭の笑顔。反則すぎる。
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