tak

バニラ・スカイのtakのレビュー・感想・評価

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)
4.3
キャメロン・クロウ監督ますます気に入りました。とはいえ、大部分の演出に関しては、オリジナルの「オープン・ユア・アイズ」をカット割りまできっちり再現しているので別にすごいとは思わない。でも初めて手掛ける原作ものなのに、しっかり自分の趣味と脚本家としての力量を発揮しているのがよいのだ。ロックや映画についての引用が加えられた為に、オリジナルの物語にしっかりとした意味づけができたのも大きいのだが、何よりもオリジナルよりもはるかにそれぞれの人物描写が行き届いているのがいい。それだけにトムとペネロペのラブストーリーが基軸に置かれ、共感を呼びやすいつくりになった。このハリウッドリメイクは大成功だろう。

そう書くとオリジナルのアメナーバル監督は”恋愛の機微もわかんない、ただサスペンスの筋を追っている監督”と聞こえそうだが、さにあらず。デビュー作の「テシス/次に私が殺される」を御覧あれ。別に恋愛の切なさを描けない人ではない。でも残酷描写や暴力に対する異常なほどの執着がある人なのは確かだけれど。

配役に関して。特にペネロペは同じ役柄だが別人のように輝きが増している。トムが部屋を去った後の仕草を観て、彼女に愛らしさを感じなかった奴はおるまい。また、カート・ラッセルが出演しているのは前作「あの頃ペニーレインと」の父娘つながりだな、と思うと映画ファンとしては嬉しい。さらに脇役にティルダ・スウィントンが出てきたのには驚いた。無機質な対応をすべき役柄(詳しく書くとネタバレしそう)だけに適任。いやいやプロデューサートム氏、お目が高い。キャメロン・ディアスは子宮で生きてる女!って感じで怖かったです、はい。

ただ、音楽の面で(前作以上に)監督の趣味丸出し。クライマックスの Good Vibration の使い方なんて必然性はいかがなものか?。僕はビーチボーイズ大好きだからいいのだけれど。ポール・マッカートニーの主題歌、キャメロン・ディアスのボーカル曲などサントラは絶品。
tak

tak