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悪魔が夜来るのpikaのレビュー・感想・評価

悪魔が夜来る(1942年製作の映画)
3.5
魔術描写が綺麗で見やすくて幻想的で、全体的に舞台調の印象がある中、映画でしかできない面白さがある。
古典的なラブストーリーだがベタというより愛への願望というか、「愛で死ねる国フランス魂ここに極まれり!」な情緒溢れる作品になっていて、途中淡々とし過ぎるが故に退屈にはなれど飽きることなくグイグイ見させられるのは、普遍的なテーマと悪魔というアイコン的な存在が生む奇妙なアンバランスさにあるのかもしれない。

戦時下でありながらも現代や戦争をテーマにせず主張を暗喩にもせず、祖国の基盤であると言わんばかりな叙情を映画に込めて今作と次作「天井桟敷の人々」を作ったカルネは素晴らしい。

トリュフォーが不良少年だった時代に学校を抜け出して今作を見たら夜に叔母さんが来て一緒に観に行こうと誘われ、もう既に観たとは言えず二度目を鑑賞したことがキッカケで映画狂になったという逸話も好き。
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