垂直落下式サミング

スキャナーズの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

スキャナーズ(1981年製作の映画)
4.0
人間の頭部が爆発四散するシーンが有名ではあるが、個人的には特殊効果のディティールや破滅的なラストなどもショッキングに思う。スキャニングしている時にニヤニヤしながら歯を食いしばってる様子や、顔の側面に血管がボコボコと浮き出していく様子など、実際の超能力とはこんなものなのかもしれないと思わせるすさまじい映像である。
話は変わって、本作をみると昔みた上岡龍太郎先生が司会をしていた超常現象について討論する番組での一幕を思い出す。
超能力を否定も肯定もしないという立場の大竹まこと氏が、「スプーンなんて鉄の塊を曲げられると自慢されても、僕に言わせてもらえばこんなもの曲げるのは握力を鍛えれば簡単なんだからそんなものは超能力じゃないんだ。例えば、目の前の人間の頭を念じるだけで圧し潰して殺すことができる人間がいるのなら彼は超能力者だろう。そういうものを超能力と呼ぶべきだ。でも強大な念力を目の当たりにした世界中の人間は、彼等を同じ人間だとは思わないだろう。本物の超能力者は迫害を怖れてメディアになんて出てこないはずだし、表向きには好意的な人間にだって正体を明かさないはずだ。」なんて、こんなようなことを言って肯定派を黙らせていた。 たぶんこの映画に影響を受けた発言だろう。
このように、ちょっと前は心霊バライティ番組でもなかなか頭のいい討論が行われていて、時たまハッとする意見のやり取りがあったのに、今は超常現象や陰謀論を否定する視点を排除して番組を作っているし、議題に答えを出そうとしないコメンテーターばかりだから何にも面白くない。占いだの霊能力だのエスパーだのといったインチキな水商売を扱っているんだから、それを検証する科学的姿勢はリアルガチなものでなくてはならないはずだ。
近頃は夏の心霊特集をテレビでやることが減ってきたが、誰がクレームを入れたわけでもなく単に人気がないから流さなくなっただけだろう。映像作家志望や小規模劇団員の奴等が仲間たちとワイワイ旅行しながら作ったであろう投稿ビデオをみてタレントがキャー!キャー!言ってるだけの番組をどう面白がればいいのだろう。オカルトファンとしては『やりすぎ都市伝説』が最後の砦なのが情けなくなってくる。
それにしても、大竹の野郎あんなに頭よさげなこと言ってたのに、近年の歯切れの悪い老害っぷりは何なんだ。老いさらばえてやがる。アンタは上岡先生みたいな綺麗な引き際を逃したんだから、バカみたいな戯言垂れてなクソジジイ!長生きしろよ!