けーはち

スキャナーズのけーはちのレビュー・感想・評価

スキャナーズ(1981年製作の映画)
3.7
デヴィッド・クローネンバーグ監督の出世作。他人の思考を読み取りそれを操作、はたまた体温や心拍数までも変えてしまえる超能力者「スキャナー」を描くカナダのB級SFホラーなんだけど、序盤で超能力を受けた人の頭がドカーンと破裂する一点豪華主義のゴアシーン(完全に爆発四散ではなく原型がある程度残っていてグチャッドロッと崩れおちるのがまた美学を感じる)で鮮烈な印象を残す。アメコミ映画みたいに超能力大激突で天地が割れたりはしないが、人が人ならざる者になる、異形への精神・肉体の変容は、後の『ザ・フライ』にも通じる。またスキャナー能力を活かしたコンピューターへのハッキングも本作では描かれていて、今見ると当時最新鋭のスパコンといえども極めて古めかしく人間の精神に近縁だとは到底言えないものだが、その現代的なSF的発想と描き方には驚かされる。軽さと重厚さを使い分ける音楽のハワード・ショアはクローネンバーグと共に成り上がり、後に『ロード・オブ・ザ・リング』の音楽を担当したりしている。