べるーし

暗黒街の顔役のべるーしのレビュー・感想・評価

暗黒街の顔役(1932年製作の映画)
4.7
“THE WORLD IS YOURS”

禁酒法時代のNYにて。南地区を取り仕切るギャングのボスを殺害したのは、ジョニー・ロボに寝返った用心棒トニー・カモンテ。彼はロボの右腕としてトンプソン片手に成り上がって行くが...というストーリー。


筆者のオールタイムベスト「スカーフェイス」の原作となった、マフィア映画の原点を遂に初鑑賞。が、思った以上にリメイク版まんまでしたね。アメリカンドリームの先代。ただ違うのはトニーの設定、グロさ、チェーンソー、結末、そして尺。基本的なあらすじは全く同じ。

当時のハリウッド映画には暴力シーン等への規制が強めだったので、今作には特別グロい場面はありません。ただ人が死ぬ場面の演出が兎に角面白くて。撃たれると同時にボウリングのピンが転がる等。成る程、直接映せないならこうしたユーモアを発揮するワケかと勉強になりました。

ただ、組織暴力への犯罪を啓発する作品の割にはどこからどう見てもトニーやマフィアをカッコ良く描いていて、ハワード・ホークスは彼等への憧れでもあるんじゃねえのかと思ってしまいますねww おかげでああいうハットが欲しくなったぜ。

スカーフェイスのファンとして嬉しかったのは「THE WORLD IS YOURS」の電光掲示板。リメイク版以上に押し出されていて、より一層皮肉が効いておりましたね。流石は原点。

しかし原作のトニーがこんなに悪魔的なマフィアとは...リメイク版では女子供への暴力だけは否定する仁義ある漢でしたが、今作では血も涙もない無慈悲のボス。モデルとなったカポネもびっくり。オリジナル版が一番凶暴なのはキング・コングも同じですね。ただ仁義がありながらも凶暴ぶりがMAXのリメイク版、即ちトニー・モンタナの方が個人的には好きです。

それにしてもこんな暴力映画作りてえなぁ〜....。ほんでルカ・グァダニーノが今作の再リメイクを作るそうで、これもまたまた楽しみです。果たして我々若い映画ファンにとってのヴァイオレンス神話になるのか?
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