老人は何を思いジャンベを叩くのか…
日本では馴染みの薄い移民問題がテーマ。
そして、最愛の人を亡くして心を閉ざした老人の再生を描いている。
派手さはないが、人と人との繋がり、それぞれの感情を丁寧に描いており好感が持てる。
ウォルターとタレクの友情、タレクとゼイナブの愛情、モーナとタレクの親子愛、そしてウォルターとモーナのロマンス。
それ故に、それぞれの登場人物に感情移入がし易く、観ていて物語に入り込んでしまう。
とりわけ、タレクがウォルターにジャンベを教えるシーン、公園で演奏してる際の演者や観客の表情には温かい気持ちになります。
拘置所でのウォルターが職員に詰め寄るところも、心を叩かれる良いシーンであった。
またウォルターとモーナのロマンスも過度にならず心地よくもあり、一方でもどかしくも切ない。
最後の駅のホームでのジャンベの演奏シーンは、怒りと哀しみが入り混じったなんとも切ない音色で、とても余韻の残る終わり方であった。
ジャンベの様に心を打ち叩かれるシーンが沢山出てくる名作です。