孤独な生活を送る大学教授のウォルターは、手違いでアパートに住んでいた移民青年のタレクからジャンベを教わるうちに心を通わせるようになるが…
「日常のなかの無意識の差別と偏見」
抑えた演出ながら現実に横たわる移民問題に確かな一石を投じる、見る側に確実に響く良作。
ジャンベの細かなリズムが心地よい。
リチャード・ジェンキンスの控え目で相手との距離の取り方が繊細で見ていて優しい気持ちになる。
ストリートミュージシャンの近くに腰かけてリズムを取りながら昼食を頬張るウォルター、タレクの彼女に替わってちょこんと座って店番するウォルター、などの萌えポイントも多い。
タレクの彼女が終始ウォルターに拒絶的な態度なのも、彼女の歩みを思うと考えさせる。
ウォルターとタレクの母親との交流が温かくて、大人で、静かに染み入った。別れのシーンでにウォルターが手を重ねる仕草が好き。恋愛映画としても二人の演技力と監督の確かな腕を感じた。
駅のホームでジャンベをかき鳴らすも、声なき音は列車という大衆にかき消される。