扉をたたく人の作品情報・感想・評価

「扉をたたく人」に投稿された感想・評価

M

Mの感想・評価

4.5
DVDレンタル
appleple

applepleの感想・評価

3.4
難民も人間である、ということを考えている中で、偶然手に取った1枚。

国籍が何処であろうと、人間同士の繋がりは素晴らしいもの。

なのに、、。
大学教授のウォルターは、妻を亡くし一人で暮らしていた。妻がピアニストだったこともあり、趣味としてピアノを習おうとするが、上手くいかない。仕事も、どこか上の空。孤独な彼の心は満たされないでいた。ある日、出張でニューヨークへ向かうことになり、滞在のため別宅のアパートを訪れる。そこには、見ず知らずのカップルが住み着いていて・・・。


まず、タイトルが良い。原題は「The Visitor」と言いますが、visitorとは来訪者のことですね。この来訪者には、主人公にとっての来訪者。そして、アメリカにとっての来訪者。二つの意味があると思います。
邦題の「扉」とは、主人公の心のことですね。「たたく人」は、シリア系男性タレクとセネガル系女性ゼイナブのカップル、そしてタレクの母モーナのことだと思います。
邦題にはもう一つの意味がありますが、それは後述。

この映画ざっくり分けると、前半は主人公とカップルとの、音楽を通じた心の交流。後半は9.11以降の、不法滞在者の扱いに対する悲劇。
といった感じでしょうか。

個人的に心に響いたのは、前半の部分でした。
趣味っていいなあ、音楽っていいなあ、いくつになっても必要だよねって思いました。自分も一緒に膝を叩いちゃいましたよ。
主人公の心が徐々に開いていく感じが凄くいい。主役リチャード・ジェンキンスさんの演技が素晴らしかった。

後半部分に関していうと、なかなか難しい問題だなと思いました。

映画を見ていて主人公に感情移入していると、タレクがかわいそう、こんなのおかしい、っておもうんです。しかし、冷静になって考えると、やっぱりちゃんとした手続きを踏んで、入国している人が殆どだと思いますし。不法はいけないと思ってしまいます。

ただ、この作品が訴えたいのは、移民に寛容だったアメリカが9.11以降変わってしまったことなんだと思う。
先述した邦題の「扉をたたく人」のもう一つの意味は、「扉」は閉じてしまったアメリカです。では「たたく人」とは何か。ラストシーンを見ればわかりますね。

音楽って、自分の気持ちを表現するものだと思います。ラストの主人公の気持ちに言葉はいらないですね・・・。
ばさみ

ばさみの感想・評価

3.9
大学の授業で鑑賞。

邦題が良い!
冷たいのに温かい、良い映画だった。

『音楽』
登場人物たちの心情の変化、彼らを取り巻く状況の変化など、あらゆる所を音楽で巧みに表現していて、それがとても心に沁みた。

やっぱり知識のある人(今回で言えば教授)の解説を聴きながら観ると、自分では知らない、より深いとこまで分かってとても良い映画体験だった。

1つ1つの何気ない描写や台詞に対する、アメリカの社会的背景を交えた解説はとても考えさせられるものがあって。

プライベートで観ていたらきっと、移民問題を交えたウォルターの物語だと思ってしまっただろうけど、色んな解説のおかげで、人間ドラマというより移民問題について撮りたかったんだと知る事が出来て良かった。(もちろん正解はないが私はそのように感じた)

出会って数日の他人にあそこまでしてあげる時点で十分心の温かい人なのに、「あなたはクールな人ね」なんて、、と思ってしまったけど。


とにかく、あらゆる対比が本当に見事。
ラストシーンも印象的だったな…

もう一度自分の部屋でじっくり観たい。
今やすっかり移民に厳しい国となった、かつての自由の国の象徴・アメリカについて、とても考えさせられる映画でした。
ジャンベを鳴らすシリアの青年と音楽を通して友情を深めていく大学教授のウォルター。ある日の誤解による逮捕をきっかけに、ウォルターは9.11以降の移民に対する政府の現実に直面することになります。

国を守るために制度があって、テロが起これば締め付けを厳しくする。それは分かります。
しかし、制度に直接従事する人間は、ただ機械のように分類化する働き方しかできません。従事者の裁量が働かず、寛大な処置が施せないために、何一つ罪を犯さなかった善良な市民の人権すら侵害されているというアメリカの現実。移民を人として尊重できなくなった時代への変化。
今現在も、実際に起こっている悲劇なのでしょう。

アメリカで生まれた人も、シリアで生まれた人も、皆が笑顔でセントラルパークで音楽を奏でて、国境や人種を超えて交流を深められるようなニューヨークになる日を切に願っています。
IGA

IGAの感想・評価

4.1
音楽に国境は無し。

地下鉄のホームで必死に扉をたたく人。
怒り狂ったジャンベの演奏が、
彼ができる唯一の罪滅ぼしに聴こえた。
9・11以降のアメリカのアラブ系移民の辛い現実を描く。

アメリカの日陰に佇むように生きる人たちの出会いと別れを終始慎ましやかにスタティックなタッチで描く演出が素晴らしい。

移民青年が主人公にジャンベの演奏を教える事により徐々に詰まってゆく距離感、青年の母親に主人公が淡い恋心を抱いていく流れでのぎこちない台詞のやり取りが特に印象的。

発展途上国についての本も執筆している大学教授とゆう主人公の設定も皮肉が効いてていい。
2007年の映画だが、内戦で荒れ果てたシリアの現状を知っている今では、映画に対する感情移入の仕方が違う
ラスト切ない気持ちになった
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