Maho

隣る人のMahoのネタバレレビュー・内容・結末

隣る人(2011年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

様々な事情で親と離れて暮らさなければならない子どもたちの、ある児童養護施設での8年間ものドキュメンタリー。
映画自体を2年くらい前に知ってからずっと観たいと思っていたのですが、DVD等にはならない作品だと知らず、偶然、上映会を知ってやっと観ることができました。

担当制によって決められた職員さんと子どもたち。けれども、たとえ血の繋がりが無くても無条件の愛情で包み込んでくれることで安心や信頼、愛着が芽生え本当のお母さんのように抱きついていく子どもたちがとても愛おしくなりました。

85分間の映画の中にたくさん散りばめられた子どもたちの姿のひとつひとつが印象に残って頭から離れません。周囲の大人や友達に暴言を吐きながらも、言った後のどこか寂しげな瞳や1人で歩いていく様子、担当の職員さんがどうしても離れなければならくなり泣きわめいている子をじっと見つめていた子がその気持ちをぶつけるようにノートに書き続ける言葉。
逆に、担当の職員さんのふとんに潜り込み、「すっごくいい匂い、大好きな匂い。」と笑う顔、ふとした瞬間に愛情を求めて手を伸ばしいっぱいいっぱい抱きしめてもらう姿、「大好きだよ」って言ってもらえてはにかむ姿。

今回、児童養護施設というものの内側を知ることはもちろんですが、純粋に愛情を求めて、伝え合う場面の連続にずっと胸が苦しかった。人には必ず「隣る人」がいて、一緒にそばにいてくれる。大切な存在、それに血の繋がりは関係ない。一瞬一瞬をとらえたシーンの全てがとても貴重な映画だと思いました。この機会に観られて本当によかった。
Maho

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