ちろる

浪華悲歌のちろるのレビュー・感想・評価

浪華悲歌(1936年製作の映画)
3.9
これまたなかなか残酷な女への仕打ち。
といっても「折鶴お千」と違ってこのヒロインは随分強かな部分がある。
現代の女性としてみれば理解し難いほどの男への甘え方とも思えるが、この時代に女が実家まで支えるほどの稼ぎなんて得られるはずもなく、それを知ってても金を長女に無心する父親や兄への憤りたるや、作品を観終わっても忘れられない。
溝口作品に出てくる男はクズが多いのは承知ではあるが、それにしても器の小ささや性格のひねくれ度合いでいったらこの作品はピカイチだろう。
現代の男性たちにはこのお話の男たちがどう映ったのだろうか?
ヒロインの愚かさを笑い、また彼らの弱さに妙に共感してしまうのか?それともありえんな!と憤るのか?
きっと、この時代には堂々とこのようなパパ活のようなものが行われてたのだろう。
きっと妻が愛人の1人や2人作っても離縁なんてするわけもなく、職場で若い美人に声かけてあわよくば。
男の性欲と女の金欲
愛の伴わないそんな男女の関係には侘しいエンディングしが訪れない。
しかし罰を受けるのは何故に女ばかりなのがこの時代のお話。
とにかくやるせない思い出いっぱいになります。
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