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ソハの地下水道のcollinaのレビュー・感想・評価

ソハの地下水道(2011年製作の映画)
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自分の命を危険に晒してまで、人間が誰かを救おうとするきっかけは、意外と、そんなにいい話ではないかもしれません。シンドラー然り、ソハ然り。

ソハは下水のつまりを修理する調査官といいながらも、ゲットーで盗難を働き、下水に隠していた。そこで、ユダヤ人と出会い、彼らを揺することが目的だった。自分が匿えるだけの人数を助け、一方で、言ってしまえば見捨てられた人々もいる。ソハは決して完全な聖人ではない。ユダヤ人を最初は罵ってすらもいた。

ゲットー解体から、ソ連軍による解放までの14か月間、ソハは自分の知る下水道の知識を利用して、彼らを匿い続けた。彼らに金が無くなっても、ソハは支援を止めなかった。ソハの妻が言ったように、「イエスもユダヤ人」だから?それは、自分の心への言い訳にしか過ぎなかっただろう。家族も友人も危険に晒しているとは分かっていても、彼らを助け続ける彼の心への。

人は複雑なようで、目の前になんとか助けられそうな人がいたならば、助けるのかもしれない。正義、名声のためではなく。ただ、目の前のできることをやっていたのではないだろうか。少しばかり芽生えた、友情や愛情のためかもしれないし、ただそこにある命のため。けれど、そこにはできない人とできる人がいて。人間が試されるとき、私はどちらの人間なんだろうか。

ソハは約10人、シンドラーは1000人以上。その人数に差はあれども、彼らの行いに差はない。「シンドラーのリスト」であったけれど、「1つの命を救えるものが世界を変える」。

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ワレサ夫妻役の2人が出演していました。
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