滝和也

スペース カウボーイの滝和也のレビュー・感想・評価

スペース カウボーイ(2000年製作の映画)
4.1
翼なき野郎ども

夢再び、折れた翼を
取戻し、向かうは
宇宙の大海原!

チームダイダロス
ジジイ達の見た夢は
今、現実となる!

「スペース・カウボーイ」

イーストウッドの贈る大人、いやジジイ達へのお伽噺!40年前に宇宙への夢を破れた宇宙飛行士たちが、ある事件をキッカケに現場復帰し、宇宙を目指す豪快なストーリーです。

正にそんな馬鹿な…と言うツッコミどころはさておいて(お伽噺ですから。)、痛快な程に、気持ちの良い元気な爺さんたちに勇気づけられてしまう(笑)。冷徹なリアリストであるイーストウッド監督作品を見慣れている方はちょっと驚きがあるんじゃないでしょうか。

ただ…考えて見れば…西部劇やダーティハリーをガンガン撮ってきたクリント・イーストウッドの一側面でもある訳で。題名のカウボーイは伊達じゃない訳です。正に痛快娯楽作品に仕上がってますよ。西部劇なみのカッコ良さです。

イーストウッドは頑固一徹のリーダーキャラであり、嘗ての天才パイロットの相棒にトミー・リー・ジョーンズ。二人の掛け合いがまた男臭くて、西部劇みたいですし、友情、絆の深さを感じさせます。拳で語り合いますし。いつもイーストウッドはモテモテですが、今作ではそのキャラをドナルド・サザーランドに与えてます。これに神父さんでもあるジェームズ・ガーナーを加えたチームダイダロスが主演を張りますが、演技巧者がガッツリ組んでお伽噺の様なストーリーを進めていきます。そこには大人の余裕、ユーモアがあって、エンターテイメントとしては◎でした。

台詞の掛け合いの巧さ、短めのシークエンスを繋いでいく演出でテンポが素晴らしく良くて、全く飽きないんですね。後半は更にハラハラドキドキの展開で釘付けになってしまう。オーソドックスな展開ではあるのですが…そこは演者が巧いので受け入れやすいですし。

やっぱり今作はトミー・リー・ジョーンズかなぁ…。美味しい役ですし、大先輩イーストウッドを向こうに回し見事な演技でした(^^) 

イーストウッドがリアリストの目を捨ててエンターテイメントに振り切った作品です。そこには確かに豪快な西部劇的な良さがありました。オッサンたちへの応援歌にも見えますし。老け込んではいられないなと素直に感じましたからね。

追記…あのラスト、エヴァ好きな方にも刺さりますよね、きっと。ロンギヌスの槍、エンディングテーマと(^^) 更に宇宙服のメットに映る地球…この演出はZガンダム映画版にもあったし…(笑)
滝和也

滝和也