点数は高いがこれはあくまで私の「好み」に合ったものであるという理由によることをまず強調しておきたい。そうでなければこの寸評を読んで「騙された！」と訴える人が出て来かねないので。いや、実に不条理な物語である。デヴィッド・クローネンバーグの近年の映画を彷彿とさせる綺麗な映像（と書くと褒め過ぎか？）によって、送られてくる謎の箱のその「謎」にこちらを惹きつける形で物語は緊張感を失わないまま展開して行く。俗に言う「SF」のようでいて、ナノテクノロジーや監視カメラが日常的に存在する一方でダイヤル式の電話やベルが鳴る目覚まし時計といったレトロなものが同居している、本当に不思議な世界。そこに私はこのふたりの監督の「野心」さえ見て取ったのだけれど、彼らはその後何をしているのだろうか？
