Kuuta

大アマゾンの半魚人のKuutaのレビュー・感想・評価

大アマゾンの半魚人(1954年製作の映画)
3.8
天地創造から話を始める無駄な大仰さや、船でグラグラ揺れたり、水槽の魚を捉えようと曖昧に動いたりする序盤のカメラに雑さを感じないでもないが、水中撮影の力の入り方は当時としてもかなり革新的だろう。

半魚人のギルマン、最初は手だけがニョキニョキ出てくるのがかわいい。化石採集に来た人を「何だあいつら…」と引き気味で見つめる顔。ヌメヌメしてグロテクスなのに、少し物悲しい造形は、全く古びていない。ゴジラと同い年だとは知らなかった。

水中で揺れる光。水面のケイ(ジュリー・アダムス)と、川底で泳ぐ半魚人のほんの数メートルの距離。虚構と現実、交わらないはずの指先が、微かに触れる緊張感。ケイの優雅な泳ぎを下から覗く熱っぽい主観ショットがめちゃくちゃ良い(ユニバーサル映画の後輩、ジョーズにこの精神は受け継がれている)。

泡や薬の粒の動きや、半魚人に引っ張り込まれるシーンの勢い、襲われた人間の体がぷかーっと浮き上がっていく気持ち悪さ。船の上の会話劇はあんまり興味を持てなかったが、水中シーンはかなりよく出来ている。

どう見ても半魚人の暮らしを踏みにじっているのは人間側であり、最後はやっぱり悲しくなる。翌年公開の「七年目の浮気」の中で、マリリン・モンローがこの映画の理不尽さを指摘してくれている。

ユニバーサルのダークユニバースは「マミー」の失敗で頓挫してしまい、今後は単発での製作が続くらしい。第二弾となる「透明人間」は予告見る限りかなり面白そうだが…。今作のリブートはシェイプオブウォーターもある事だし、当面は難しいのかな。76点。
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