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胸より胸にの一のレビュー・感想・評価

胸より胸に(1955年製作の映画)
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これは傑作だ~と思って観ていたが、あんまりなラストに怒りすらこみ上げてくる。ホントに納得いかない。にしても有馬稲子がただただ素晴らしい傑作には違いない。宝塚仕込みのダンスはもちろん、流しのストリッパーになったあと「鎌倉の日のことは忘れない」と一瞬だけかつての表情を取り戻すあの笑顔に震える。
何も判ってない大学教授・富田浩太郎が最高で最低。地元のクズヒモ旦那・大木実とまとめて水戸光子に「稲子より自分が好きなんだろ!」と説教されるシーンで心の底から溜飲下がる。判ってる風の稼げない翻訳家の下元勉も奴らと変わんないんじゃないの。
城久美子(検索してもほとんど情報がない)演じる落ち目の元看板ストリッパー・ルリ子も素晴らしいキャラクターで、一度都落ちしてからも浅草に戻って来、「わたしは浅草で踊りたい、わたしはまだ踊れる」と信じて夜に消えていくあの後ろ姿を僕は本当に美しいと思いました。
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