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座頭市喧嘩太鼓のAONIのレビュー・感想・評価

座頭市喧嘩太鼓(1968年製作の映画)
3.0
凝りに凝った映像演出も、シリーズ屈指のつまらない脚本のせいで水の泡。

脚本家が三人もクレジットされているにもかかわらず、このお粗末で粗いストーリー展開はどうしたもんだろう? 恐らく、この三人の脚本家たちに次々と交代で手直しさせたが、結局どうにもならなかったんだろうな。 ストーリーも弱いが、登場キャラの描きこみも薄っぺらい。ゲストの佐藤允なんか、ただの殺人鬼にしか見えない。藤岡琢也は結構オイシイ役柄だが、西村晃の使い方は勿体なさすぎる。

森田富士郎キャメラマンが撮った映像は大変に遊び心に溢れている。前半の座頭市が屋内で居合抜きを披露するシーンは、仰角撮影にこだわっていて大変に面白い画だ。ラストの夕暮れ風景の美しさや、体の一部(特に足)を超ズームアップする画なんて、これぞ三隅美学って感じ。

勝新の殺陣テクは絶頂期に達し、この頃のスピードは驚異的。しかし肝心の勝新と允ちゃんとの決闘は、大袈裟なBGMも余計だし殺陣もしつこくて冗漫に感じた。
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