Kumonohate

座頭市喧嘩太鼓のKumonohateのレビュー・感想・評価

座頭市喧嘩太鼓(1968年製作の映画)
3.9
シリーズ第19作。キモはとにかく三田佳子。そもそもの事件の大元は彼女を巡るいざこざだし、市にピンチを救われた後も、彼女を狙う悪党たちによって騒ぎが拡大する。囲い者にしたい奴、有力者に献上したい奴、遊郭で働かせたい奴、手ごめにしたい奴。誰も彼もがその身体を狙い、それが全てのトラブルの原因になっている。権力闘争や縄張り争いや金銀財宝といった従来の事件の元凶に比べると、極めてシンプルな設定であるが、特に目新しさは無い。

かといって、だから退屈かというとそんなことはない。

博打のいかさまを見破られて簀巻きにされ、そのままの姿でぴょんぴょんしながら闘う。ちくちく針仕事をして女の着物を繕う。囚われた女を馬で追いかけるが、勢い余って追い越してしまう。闇の中での斬り合いで、龕灯の光にスポットライトよろしく照らされる。太鼓が鳴り響き頼りの音が聞こえない中、剣豪と死闘を繰り広げる。⋯色んなアイディアがぶち込まれているため、飽きることはない。

みんな三田佳子のことが大好きで、その三田佳子が、市にだけは易々とコロッといっちゃうってのはやや腑に落ちないが、やはり三隅研次は面白い。
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