西部一の早撃ちでならず者として恐れられたジミー・リンゴ(グレゴリー・ペック)は足を洗い、家族と平和に暮らそうとしていたが、彼を倒して名を上げようという者たちに追われてしまう。
「頭上の敵機」に続いてヘンリー・キング監督がグレゴリー・ペックと組んだ作品だ。
いつも品行方正なグレゴリー・ペックらしからぬ、ならず者の役は違和感があるが、ドンパチだけでない骨のある西部劇になっている。ヘンリー・キング、さすが。
どんなに改心しようと、人殺しの代償は大きいという戒めが悲しくも強烈だ。
ただ、そこに至るまでに酒場にやってくる人々とリンゴとの会話が面白い。銃撃戦もほとんどなく、とっても地味な展開なのに会話で楽しませる脚本が素晴らしいってことだろう。
さらに、“ジミー・リンゴ” という言葉で小さな町が蜂の巣をつついたような騒ぎになる様子がコミカルで、笑いとのバランスの良さがいい。
そんな人間ドラマなのは承知の上で、もうちょっと西部劇らしい早撃ちや撃ち合いが観たかったなー。
そして、今わの際の言葉が家族への愛ではなく、チンピラへの警告ってところが悲しい。
まさに拳銃王の悲しきなれの果てだ。