安堵霊タラコフスキー

惑星ソラリスの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.4
タルコフスキーの代表作ではあるけど、他の長編と比べると個人的に一歩劣る感がやはりある。

というのもソラリスに行くまでの自然の描写は水草が揺蕩う川等どれも美しいもので最高なのに、ソラリスについてからはそういう描写が少なく無機質な空間ばかり映されるためだ。

勿論美術は凝ってるし時折見えるセピア調の映像も趣があるし、サスペンス的演出も見事なのだけど、タルコフスキーといえば自然の優美な描写や厳粛な構図や照明等が素晴らしい監督という印象で、途中その持ち味が活かせていないような展開は実に勿体無く思える。

しかしそれでも全体として長回しを多用した映像表現第一主義的、というよりベルイマニズムな作風は流石タルコフスキーと言わざるを得ないし、終盤の幻想的なシーンは何度見ても溜息が出るほど白眉だから、結局素晴らしいと形容するしかない。