2001年宇宙の旅とよく比較されるが、キューブリックが最先端技術を使い、外に向かって宇宙を描いていくのに対し、タルコフスキーはSFというジャンルを使ってはいるが、むしろ自分の内面に向かい掘り進んでいくかのような印象を受ける。
タルコフスキーの映画に通底して流れている郷愁のイメージは、言葉による説明的な懐かしさではなく、あくまでも映像。映像だけでロシアなんか行ったことないのに、時代も違うのに、記憶の奥の原風景を見せられているようで無条件に共感してしまう。それはやっぱりタルコフスキーの映画が芸術だからだ。芸術は説明しない、ひと目で人の感性、魂を鷲掴みしてくる。
コラール前奏曲をバックにブリューゲルの絵画「雪中の狩人」からの無重力状態での抱擁シーンは何度見ても鳥肌が立つ名シーン中の名シーン。とんでもない映像センス。
タルコフスキーの中からだけでもベストを決めるのは難しいが、音楽・映像・テーマ・キャスト(特にナタリア・ボンダルチュク美人すぎ)の全てが自分にぴったりハマった。オールタイム・ベスト1。