矢吹

長屋紳士録の矢吹のレビュー・感想・評価

長屋紳士録(1947年製作の映画)
3.9
これは、一個のお手本。
長屋に笠が子供を拾ってきて、そのコミュニティのゴタゴタと、人と子供の話になりますが、
最初の押し付け合いから、
日付変わって彼がおねしょをしていた時は時で
泊めてあげてるじゃんと最高の気分で
彼の親を探しに行って、茅ヶ崎に子供を置いて、
走り出した時は時で、最低な笑顔と爽快感に最高の気分で
彼がいなくなってしまい、心配する姿を見た時は時で最高の気分で、
やはり見つかった時も時で最高の気分で、
その後、
遊びに行く時も写真撮る時も最高の気分で
まさにこの作品のクライマックスが訪れる悲しみたるや、喜びたるや、その時は時で最高の気分で。
便利なものだよ。と思います。
楽勝人間だな俺。よかったじゃんと思います。
紳士というより、母性のお話です。

どう転んでも楽しめるシーンの連続の中で、その先の2択がまた堪らなくなる方向の選択肢、という完璧なルートを通っていく映画です。
派手なことはおこらないけど、ずっと楽しいのが、さすがすぎるなと。

西郷隆盛の像の前、子供群。
伸び伸びと、タバコ吸って、荒くれ者たちのようなかっこよさもあるけど、
戦後の日本の風景であるのだと、あの数だけ親があったのだと言う。こと。
確かに、この周辺以降の、小津さんの戦後の描き方は違うから、また色んな楽しみ方を想像して、まあ、それまでになりがち。
急ぐ話じゃないからいいけどね。
調べている途中です。
死ぬまでかけて完成させましょう。
大切なのは前に進むために存在しづけること。
知らないってことを、知っていること。
過去って、残念ながら変わらないから、安心して愛してあげてください。
今見た時のその人にも、堆積してきた過去が確実にあると言うこと。
だから、積み続けたい。
意味があるとは信じながら。
そんな一個のお手本。になりうれ。
みたいなこと冒頭でね、語ってたっけ。
人の生き方みたいな。
多分全然違ったし、
忘れたけど、
また見直します。
まあ急ぐ話じゃない。
矢吹

矢吹