「長屋紳士録」に投稿された感想・レビュー

のび
のびの感想・レビュー
2016/08/11
3.9
映画『長屋紳士録』は、東京の下町を舞台にした”拾い子"をめぐる人情劇。現代のわたしたちの目から見ると、”拾い子”を引き取ったおたねが男の子へ向けるまなざしは、時に冷たく感じるほどにドライだ。だからこそ、後半になってようやく芽生えた愛情がより温かく感じる。ああ、人間の思いやりはまだ捨てたもんじゃないなと。

けれども物語の最後では、ほっとした気持ちを抱いたわたしたちの目の前に戦後すぐの現実が映し出される。その現実は、戦後の東京に残された戦争の生々しい傷跡と言っていいだろう。そんな傷跡は物語が終わったあとも、あの現実はどうなったのだろうと、わたしたちの心をざわざわとさせる。

この映画は、空が印象的な映画だ。本作には戦後すぐの東京の姿が映し出される。激しい空襲のあとを思い起こさせるような、むき出しの土だらけの東京。ようやく瓦礫が片付いたばかりのようにも見える。まだまだ戦争の傷跡はあちこちに残されている。

ただ、そのような東京の空は大きく広がっている。これがカラーの映画だったら、青く透きとおった空がどこまでも広がっているのだろう。人々の上には、青い空が戦争の傷跡を見つめている。モノクロ映画にもかかわらず、画面に映し出される終戦直後の空が、やけに心に響く一本と言える。
加賀田
加賀田の感想・レビュー
2日
3.2
テメエ
カレーうどん
カレーうどんの感想・レビュー
2017/03/11
3.7
戦後すぐの雑然とした生活と、上品できりっとした話し方のバランスが不思議。ずっと会話を聞いていたくなる。
まつこ
まつこの感想・レビュー
2017/03/08
5.0
世知辛い中にもあったかい優しさはきっとある。

捨てられたのか、はぐれたのか、「子供を拾ってきた」と連れてこられた坊やと預かることになったおばちゃんの人情劇。

笠智衆さんが若い!
唄声に合わせてぴっと上がる手のキレに笑いが漏れた。大人たちがお箸でチンチンとリズムを取る後ろで遠くから参加するマルコメちゃんがかわいいな。

硬く握った握り飯みたいな睨みをきかせて!と坊やに怒っていたおばちゃんがどんどん変わっていく様子に鼻の奥がツーンとする。二人で背中をもじもじさせる、かゆかゆポーズが好き。

戦後の日本の世知辛さ。
西郷さんに群がる子供たち。
坊やだけではないのだよと小津監督が語りかける。
今作もど真ん中で私の心を射抜いた。

笑って泣けるとっても素敵な作品。
カフェポタリスト
カフェポタリストの感想・レビュー
2017/02/06
4.6
小津監督の映画でいちばん好きかも。
先日、ラジオを聞いていたら、
室井滋さんがこの作品が好き、と語っていて、
自分も意を強くした。
敗戦直後の市井の人々の様子が知られる。
あの上野のお山の子どもたちはその後どうなったのだろうか。
kaori0314jiji
kaori0314jijiの感想・レビュー
2017/01/28
5.0
疲れた時こそ観たくなる小津作品。

癒しを通り越して、小津作品で一番の号泣です。


子供を拾うとか棄てる とか今の時代、信じられない内容にもかかわらず、絶妙な雰囲気で漂う全体ののんびり感に癒されつつ、笑わせられます。

初めは厳しくて嫌味なおばちゃんなのに
気付いたら服についた汚れをほろってやったり段々、坊やの事好きになってく。

近づきすぎない距離感がすごく好き。

ラストの涙の理由には、大感動。

笠智衆演じる 田代さん 2回も拾って来てとんでもないおじさん!
なのに、やっぱり人相が良いから素敵な紳士だなぁ〜

自分の事だけを考えて生きるのは虚しい事ですよね。

上手に言葉に出来ない自分がもどかしい!
袋田正志
袋田正志の感想・レビュー
2017/01/10
-

このレビューはネタバレを含みます

ヴィットリオ・デ・シーカやロベルト・ロッセリーニや清水宏などとはまた違うアプローチで戦後の子供を描いている。今の時代の映画には失われた顔だろう飯田蝶子や青木放屁の面構えが実に素晴らしい。劇中で土佐犬にブルドッグも入ってるとまで言われた飯田蝶子の「めっ!」と睨みを利かす顔は確か怖い。茅ヶ崎の海岸で何とか幸平を追っぱらおうとする様子がいい。貝殻を拾いに行かせて猛ダッシュで逃げ出す様子!九段でつい可哀想で子供を拾ってきてしまうのが、笠智衆ってのがいいな。2000円当たるよとくじを買いに行かせる様子や為吉のすべてのくじにXを書いていておたねは自分が当たったと騙されているところも印象に残ってる。
きょーすけ
きょーすけの感想・レビュー
2017/01/09
3.7
ラストがありきたりじゃなくて現実的だったのがさすが
ニシ
ニシの感想・レビュー
2017/01/09
3.1
長屋のおばちゃんと迷子の男の子とのちょっとホロっとする人情話。
話の本質を考えると今だったら大問題だけど。
戦後すぐって、上野の西郷さんの像の処にこんなに浮浪児がいたんだ。。

若い時の笠智衆がディーンフジオカみたいだった。
もりやりお
もりやりおの感想・レビュー
2017/01/06
4.2
2回目、以前観てからかなり時間がたっていたが、久しぶりに大好きな小津をみた。
これは小津が戦後はじめてとった作品だが、瓦礫の山とかそういうあからさまな描写はない。なのに、なんだろう、本当に普遍的な、ものごとの本質をこのひとはいつも捉えてる。ラストのシーンの台詞ひとつをとっても、時代がこれだけ流れているにも関わらず、響く。
小津安二郎は本当にものすごい監督、日本人の監督の中ではずば抜けてる。それも時間が流れれば流れるほどより確かにわかることなのかもしれない、それは、ものすごいことだ。
なんとなくチャップリンのキッドを思い出すね!
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