マーくんパパ

鏡の女たちのマーくんパパのレビュー・感想・評価

鏡の女たち(2002年製作の映画)
3.6
行方知れずになっている娘を長年探していた岡田茉莉子が役所の戸籍係(室田日出男)の助力で母子手帳を持ったそれらしい記憶喪失者の田中好子を見つける。自分を放置して行方不明になった親を許せない孫娘だという一色紗英と3人それぞれのルーツ探しが始まる。割れた鏡、カップの淵の口紅を拭き取る仕草、広島の病院の窓から見える小島の思い出etc各人の記憶の断片が交錯するミステリアスな展開が遥か遠い昔、原爆後遺症で亡くなった岡田の夫の話にまで遡り、スーちゃん熱演の『黒い雨』と重なって来る。田中好子の記憶喪失の理由は定かでないまま、田中が子供を産んだ30才くらいの面影を母だという岡田が覚えていれば当人かの見分けはつく筈なのに…ともどかしさ抱えたまま観終わる。キャンディーズファンだった青春時代、この時既にスーちゃんの身体に不治の病が宿っていたと今ではわかった上で観ると別の切ない想いが込み上げる。