アル・パチーノ本人が自身の出演作で個人的に気に入っているベスト3として挙げていたのが、
ドキュメンタリー『リチャードを探して』、『哀しみの街かど』、そして本作『セルピコ』。
たしかに『ゴッドファーザー』シリーズや『スカーフェイス』に引けを取らない“パチーノ印”の刻まれた傑作であり、代表作と思う。
10代の頃ぶりに観たが、やはり70年代犯罪映画ならではの硬派なリアルさ、フィルムのざらつき、くたびれた風情と匂い、最後に残る虚しさのようなものがたまらなく好きだと実感。
汚職警官👮モノというジャンルは、ある種それだけで一定の面白さが担保されている感もあるが、それでも本作は頭ひとつ抜けた傑作と言える。
ヒッピーなファッションとヒゲに身を包んだアル・パチーノがとにかく魅力的で、キャラクターとしてとにかく愛着が沸く。見た目こそまるで違えど『スカーフェイス』のトニー然り、本作のセルピコも自分の信念を曲げないどこまでも真っ直ぐで頑な人物。アル・パチーノはやはりこういう正義漢がハマる。