みんと

セルピコのみんとのレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
3.8
腐敗したNY市警にたった一人で勇敢に立ち向かったフランク・セルピコの実話に基づく作品。

『狼たちの午後』に続きアル・パチーノ主演シドニー・ルメット監督のこれまたディープな社会派ドラマだった。

コチラのアル・パチーノは髭面のヒッピースタイルの私服警官役が妙に似合っていた。但し『ゴッドファーザーⅠ』の翌年制作という事で、警察学校卒業時のセルピコの姿は未だ若くてカッコ良くて何処と無くマイケルと重なるビジュアル。

高い志と強い正義感を持ち、意気揚々と配属されたは良いものの腐敗しきった内部の状況を目の当たりにする事になる。ともすれば流されても不思議では無いところあくまでも正義を貫く姿が見ていて辛いくらい。

長いものに巻かれる選択よりも四面楚歌でも自分自信でいる事を通す姿勢に熱いものが込み上げる。正しくともあまりの頑なさにプライベートも上手く行かず、公私共に孤独な姿がアル・パチーノの何処か寂しげな眼差しとピッタリくる。

それにしてもあのシーンの緊張感にはハラハラさせられた。まさかあんな所を撃ち抜かれるなんて考えただけでもゾッとするし、更には非道な同僚の態度にも怒りが収まらない。

告発に至ったのはせめてもの救いだけれど組織の体質がそれほど簡単に変わるとは思えないモヤモヤ感は拭えないところ。
みんと

みんと